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ポストコロナの働き方「日本型テレワーク」の実現

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2021年8月11日総務省より提言書が発表された。
『ポストコロナの働き方「日本型テレワーク」の実現 ~個人・企業・社会全体のウェルビーイングを目指して~』(以下本稿において「提言書」という。)である。
有識者8名により全5回の会議を経て発表されたものであるが、筆者もこの会議に参画し労働分野の専門家として意見を述べさせていただいた。

目次
  1. はじめに
  2. 5つのポイント
  3. (1) 目指すべき「日本型テレワーク」の在り方
    1. 日本型テレワーク

はじめに

この提言書は、今後日本が目指すべきテレワークの在り方を再整理し、その定着に向けて最新の情報と方向性を示したものである。2020年は新型コロナウイルス感染症(以下本稿において「感染症」という。)拡大で多くの企業がその対策に悩まされたが、感染症の拡大によりテレワークは日常的な働き方へと変化した。2021年には過去最高の感染者数を更新し続ける第5波ともいわれる感染拡大の中で政府が発する緊急事態宣言への危機感が薄らいでしまっていることは誰もが同じ考えであろう。

そうすると企業におけるテレワークの実施率が低下する方向に向かうのは当然のことといえるが、「中小企業のテレワーク実施状況に関する調査」(東京商工会議所:2021年6月16日公表)によれば、東京23区における中小企業のテレワーク実施率は2020年5月が67.3%であったのに対し、2021年5月には38.4%に低下していることにもその実態が窺える。(注:前回までの調査先とは異なり、本来単純比較はできないため、前回調査との比較はあくまでご参考情報としている。)

この調査の「企業の声」には「出社した社員に業務が集中して残業が増えていた。2021年5月の緊急事態宣言が延長されたタイミングで止めた。」「営業活動の推進の阻害となっていたため止めた。」などが挙がっている。

5つのポイント

さて、提言書ではどのようなことが検討されたのであろうか。その骨子は次のとおりである。

(1) 目指すべき「日本型テレワーク」の在り方
(2) テレワークの導入・定着に向けた ICTの活用
(3) 企業・団体の内発的取組を促すための仕組み
(4) 既存のテレワーク関連施策の見直し
(5) その他(a. 総務省自身におけるテレワークに向けた取組、b. 在宅勤務手当に関する調査、c. 育児・介護・治療との両立)

提言書の「終わりに」に書かれているよう、本タスクフォースのミッションは、「テレワークだとだめだよね」という先入観を払拭するとともにテレワーク本来の良さを伝え、良質なテレワークの普及に向けた検討を行うとものであった。

(1) 目指すべき「日本型テレワーク」の在り方

紙面の関係で、ここでは(1)についてのみ取り上げるが、今後の日本型テレワーク を推進するために 重要なことは、次の点にあると提言がある。

●他国の事情は日本に馴染まず、日本は日本の働き方等をベースとして、日本なりのやり方を模索すべきである。
●ICTツールの積極的な活用、BPR、DXを推進することで、日本型の働き方の強みを更に発揮できる「日本型テレワーク」を実現することができる。
●育成期の社員に対しては、ソーシャリゼーションの観点から計画的に対面機会を設けるなどの創意工夫により、OJTを基本とする日本の職場に適した方法を取り入れることが必要である。
●世代間ギャップを解消するためには、組織の風通しを良くすることが重要であり、組織サーベイとメンバーへのフィードバック、1on1ミーティング等の取組を通じて、組織開発を行っていくことが有効である。
●通勤時間や取引先等への移動時間の削減とそれにより自ら有効に活用できる時間の創出、ストレスの軽減などにより、個人のウェルビーイングを向上させるとともに、チームや組織のレベルにおいてもウェルビーイングを向上させるようなテレワークこそが、ポストコロナ時代において定着に向けて目指していくべき「日本型テレワーク」と言える。

以上を踏まえ、本タスクフォースにおいては、以下のとおり、「日本型テレワーク」を定義することと提言している。

日本型テレワーク

1.日本の様々な社会課題の解決に寄与
・急速な少子高齢化、生産年齢人口の減少等の課題に対応
・時間あたり生産性の向上

2.テレワークを契機とした ICTツールの積極的な活用、BPR、DXの推進
・情報を共有しているという感覚や一体感の醸成、インフォーマルなコミュニケーションを促進する場をバーチャルに補完
・日本型の働き方の「強み」をより活かす
・心理的安全性の強化

3.ソーシャリゼーションへの配慮
・育成期においては一律テレワークではなく、対面機会を計画的に設ける工夫

4.世代間ギャップを埋めるための工夫
・無駄な出社への同調圧力の排除
・企業レベルでテレワークに係るビジョンを策定
・組織の風通しを良くするための組織開発/コミュニケーション促進施策の実施

5.ウェルビーイングの向上
・個人単位のウェルビーイングに加え、組織による協働的なウェルビーイング

 

(2)以降の内容を含む「提言書」全文については下記URLより閲覧可能
https://www.soumu.go.jp/main_content/000763090.pdf

中島康之 なかじまやすゆき

特定社会保険労務士

1958年、大阪市生まれ。92年に社会保険労務士試験に合格し、翌年よりNSR労務コンサルタント事務所を開設。2003年には社会保険労務士法人NSRに組織変更して代表役員に就任し、05年神戸オフィス、16年に東京オフィスを開設した。98年より10年間にわたって全国社会保険労務士会連合会事務指定講座講師や、大阪北支部...

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