急速に進むオンライン化により人材確保の方法も大きく変わっています。学生が求める採用活動とは何か、どのような採用方法を取るべきか、アフターコロナの採用について、株式会社ディリゴ代表取締役・長谷真吾氏に解説していただきます。
アフターコロナの採用はどのようになるのか?
コロナが収束したら、採用は元のように対面で行うようになるのか?
いいえ、これは違います。
コロナ後であってもオンラインの採用活動は続きます。
ただし、対面とオンラインを組み合わせた「ハイブリッド採用」と呼ばれる採用活動が行われるでしょう。
オンラインとリアルの採用活動はどうなる?
(2023年卒予測 コロナ収束仮説における対面とWEBの活動変化)
マイナビ2022年卒 企業新卒採用活動調査<実施期間>2021年6月4日~6月21日
この、マイナビの調査でもわかるように、WEBと対面を使い分けていくのです。
学生は対面での採用活動を求めているのか?
これも学生の本音は、場面や段階によって異なります。
リクルートの就職みらい研究所就職プロセス調査で面白いデータがあります。
WEBの説明会と対面(リアル)の説明会ではその後のエントリー率はWEBの説明会の方が高かったんです。学生は説明会や1次面接などの就活の初期段階ではまだ志望企業を決めきれていないので、できるだけ効率的に多くの企業を見たいのです。
リアルが良いというのは幻想かもしれません、学生はWEBの説明会からでも社風や社員の人柄などを敏感に読み取っているのです。
実際に、学生の声を拾ってみると
- WEB面接だと移動がないので交通費がかからない、話そうと思う内容を書いてスマホの横に置くことで、緊張せず話すことを忘れないから。(理系女子 メーカー内定)
- 面接の段階で異なると思う、1次面接はwebで数多く受験できるほうがいいが、2次面接以降は自分の熱意を伝えたいし、面接官の表情も解りやすいリアルの方が良いと思う。現実は最終だけリアル、最終もWEBの会社が多かった。(理系男子 通信系内定)
- リアル面接は緊張するので、web面接がやりやすかった。しかし最終面接もwebの場合は会社に直接行かないで内定をもらっても納得感が無かった。(文系女子 専門商社内定)
- 説明会はwebだったがライブで行われ社員同士の掛け合いなどから社風が伝わった。面接は1次、2次はwebだったが、最終はリアルで行ってもらい職場見学もできて入社意欲が沸いた。(文系男子 IT企業内定)
学生の方がはるかに、オンラインを使いこなしているのが解ります。
注意しないといけないことは、学生がオンラインでも社員や人事の雰囲気や相性をしっかりと見ているということです。
以下、学生のオンラインの説明会や面接の感想です。
- 社風が違うと思った。人事の人で判断するのは良くないと思うが、会社全体の印象を受け持つ人事なのに違和感を感じたのは不安要素だった。(文系女子)
- 事前に下調べをして得た内容と、実際に説明会での内容が乖離していたり、働く人の話を聞く機会があったものの、楽しく働いているように思えなかったから。(文系男子)
- 人事の印象が悪く(態度が悪い)、会社のイメージも悪くなった。また、説明が雑で業務内容も大して分からなかったから。(文系女子)
ハイブリッド採用を行う時のポイント!
コロナ禍によって採用活動のWEB化が余儀なくされ、リアルと異なり会社の雰囲気や社員の人柄が伝わりづらいのが現実です、しかし学生はしっかりとオンラインを使いこなしています。
オンライン採用が2年目を終え、大きな変化の時期を迎えています。
ポイント①
WEBよりリアルが良いというのは幻想!
学生はWEBを使いこなし就活の効率化、面接対策を進めている。
ポイント②
WEBで採用活動を行う企業の評判は2極化している!
WEB採用を工夫していない企業は学生から酷評されている。
ポイント③
WEBとリアルをうまく使い分けている企業は採用に成功している!
WEB&リアルのハイブリッド採用が、アフターコロナの採用活動成功のカギになります、学生に伝わる工夫、オンラインでも丁寧に対応すべきです。
長谷真吾 はせしんご
株式会社ディリゴ 代表取締役
1965年生まれ。89年同志社大学経済学部卒業後、戦後最大の政治疑獄と言われたリクルート事件直後の株式会社リクルートへ入社。史上最悪のブラック企業と当時言われたリクルートの採用担当となったが、偏差値60以上の高学歴採用を成功させる。 95年「採用プロセスを科学する」をコンセプトに採用コンサルティング会社を...