講演会・セミナーのキャスティング、講演依頼は講師派遣ナビコラム・インタビューどうつくる?持続可能社会~新型コロナとSDGs|講師 室山哲也

どうつくる?持続可能社会~新型コロナとSDGs|講師 室山哲也

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新型コロナウイルスによるパンデミックを乗り越えるため、人類と地球の未来を守るために必要なSDGsへの取り組みについて、日本科学技術ジャーナリスト会議会長・室山哲也氏に解説していただきます。

目次
  1. 新型コロナからの警告
  2. 生き残りを懸けたSDGs「環境問題」への取り組み
  3. 恵まれた「再生可能エネルギー」を生かす
  4. 技術力、自然の力で達成を目指す「SDGs」

新型コロナからの警告

オックスフォード大学が、2015年に発表した「人類滅亡12のシナリオ」というレポートがあります。もし、人類が滅亡するとしたら、どのようなプロセスをたどるかという報告です。内容をみると、「気候変動」「核戦争」「生態系の崩壊」「グローバル経済での格差拡大による国際システムの崩壊」「巨大隕石衝突」「大規模火山噴火」「バイオハザード」「ナノテクによる小型核兵器開発」「人工知能」「超汚染物質や宇宙人の襲来などの未知の出来事」「政治の失敗」と続きますが、33番目に「パンデミック(新興感染症)」があげられています。

実は、世界を混乱させている「新型コロナウイルス」も、この新興感染症の一つ。人間活動が活発化し、自然環境の奥深くに侵入することで、人間が免疫をもたない「未知のウイルス」に感染し、現代社会の活発な交通網に乗って、瞬く間に世界中に拡大するのです。ウイルスの変異のスピードは活発で、世界各地で違ったタイプのウイルスが現れます。そのため、先進国だけが対策をしても、対応が難しい開発途上国で変異が繰り返され、感染力や毒性が強いウイルスが現れ、先進国に再流入するため、このゲームは終わりません。「新型コロナ」は、人類全体で取り組まなければ解決しない点で、まさにSDGsのテーマの一つといえます。

生き残りを懸けたSDGs「環境問題」への取り組み

SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称で、「エスディジーズ」と読みます。2015年の国連サミットで加盟193か国が採択し、「環境問題」「貧困」「紛争」「格差」「健康問題」など17の目標を定め、2030年までに解決しようというものです。一見ばらばらの目標に見えますが、これらは根底で関連しあい、人類の未来を左右する重要な課題となっています。

SDGsが注目される背景に、何があるのでしょうか?私が最も重要と考えるものに「環境問題」があります。エコロジカルフットプリントという指標でみると、人類は、すでに地球1.7個分の生活をしており、もし全員が、今の文明のパターンのまま、日本人の水準の生活をすると、地球が2.8個、アメリカ人の水準の生活をすると、5個必要になります(2014年データ)。

しかし、地球は1個しかありません。このままでは、地球環境は疲弊し、資源は消耗し、私たち人間は、持続可能な生活を続けることはできません。私たちは今後、地球1個分の生活をしながら、しかも豊かで幸福に暮らす方法を見つける必要があるのです。
ではどうすればいいのでしょうか?

恵まれた「再生可能エネルギー」を生かす

エネルギーの面から考えてみましょう。
私たち人類は、今まで、石油や石炭などの化石エネルギーに頼りすぎ、気候変動などの深刻な環境問題を招いてきました。今後は、地球に負荷をかけない、「脱炭素エネルギー」が必要です。その一つとして注目されているものが「再生可能エネルギー」です。

再生可能エネルギーは「太陽光」「風力」「地熱」「バイオマス」「海流」など、自然の力によって生み出されます。実は日本は、この再生可能エネルギーの宝庫なのです。日本は陸域面積では世界61位の小さな島国ですが、排他的経済水域を合わせると、世界6位の海洋大国です。深い海が多く、容積では4位。そこに世界最強ともいえる黒潮が流れています。地熱エネルギーは世界3位、バイオマスを生み出す森林率も、先進国で3位。そして、日本全域に太陽光線が降り注ぎ、強い風が吹いている地域も多くあります。

このように、日本は、「自然エネルギー王国」であり、今後はこの自然エネルギーを、さらに生かしていく必要があります。

技術力、自然の力で達成を目指す「SDGs」

もう一つ、日本の強みとして「科学技術力」があります。自然エネルギーと科学技術力をかけ合わせれば、大きな未来が生まれます。政府が2020年に発表したグリーン成長戦略は、再生可能エネルギーを核とした成長戦略を目指しています。

たとえば海洋に洋上風力発電を建設する構想。海に浮かべるタイプの洋上風力発電には、日本の造船技術が使えます。また風力発電の羽根のまわりに「風レンズ」と呼ばれる輪を付けると、発電量が増加する研究もあります。さらに、火力発電所のCO2で海藻を育て、食料とエネルギーに転換したり、CO2を吸収するコンクリートなど、ユニークな研究が次々と生まれています。

SDGsは各国の個性を組み合わせ、人類全体で達成すべき目標です。日本も、日本人が培ってきた知恵を組み合わせ、この人類の難局を切り抜けていく先頭グループで、活動を続けるべきではないでしょうか。

室山哲也 むろやまてつや

日本科学技術ジャーナリスト会議会長

1953年、岡山県倉敷市生まれ。76年にNHK入局。「ウルトラアイ」などの科学番組ディレクター、「クローズアップ現代」「NHKスペシャル」のチーフプロデューサー、解説主幹を経て、2018年定年。科学技術、生命・脳科学、環境、宇宙工学などを中心に論説を行い、子供向け科学番組「科学大好き土よう塾」(教育テレビ)の塾長...

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