EQは「感情能力=感じる能力」といわれ、私たちが日常生活で普通に使っている能力です。自分や相手の気持ちを感じたり、前向きな気持ちをつくったり、気持ちを切り換えたり、カッとなると冷静になるよう感情を管理、利用しています。※EQ理論については1回目のコラムをご参照ください
ビジネスの成否の8割は人間関係が決める
企業のみならず社会生活で避けて通れないのが人間関係です。
EQ理論の調査結果でも人間(対人)関係を良好に築けるビジネスパースンは成果を上げていると述べています。そこで必須となるスキルがコミュニケーションです。コミュニケーションスキルは多くの書籍で紹介されていますが、これがなかなか厄介で困難をともない、誰もが苦労されており、誰しもが抱える永遠のテーマといえます。
では、EQとの関係はどこにあるか。人間関係は人対人であり、相手にするのは生身の人間です。いくらスキルや技術を学んでも、人間は感情の動物、それも多様な人格を持ち、一筋縄ではいきません。そこで注目したのが感情を上手く使う能力EQです。
性格と感情はちがう 〜変わらない性格、変わる感情〜
コミュニケーションが上手くいかない理由を性格のせいにしていませんか。
性格が合わない、性格の不一致、馬が合わない、あの性格についていけないetc.
私は心理学の専門家ではないので、私の経験で述べますが、性格は変わりません。自分の性格が嫌いで変えようと試みた多くの人に会いましたが、未だ変わっていません。むしろ悩みは深くなり、自分を責め、否定し、苦しんでいるとさえ思います。
性格は自分そのものであり、そのままでいいのです。自分を否定したり嫌いにならないで、おもいっきり自分を可愛がってください。コミュニケーションに困ったり、悩んだり、困ったら、感情を上手く使いましょう。
変わる感情、変えられる感情、であれば感情を上手く使う能力EQを使えばいいのです。
コミュニケーションの成否を決める感情「好きと嫌い」
私はEQと出会い、感情の大切さを学び、EQを実践してきましたが、私たちのもっとも身近にある感情「好きと嫌い」に日々翻弄されながら生活をしていることに気づきました。
好きな人のアドバイスは心に響くけれど、嫌いな人のアドバイスは「余計なお世話だ」と感じてイライラする。好きな上司に指示されると「この人のために頑張ろう」と思うけれど、嫌いな上司の命令は「そんなのやりたくない」と反発してしまう。好きな人と一緒にいると、あっという間に時間が過ぎるけれど、嫌いな人といると、ちっとも時間がたたなくて時計ばかり見ている。
皆さんも、心当たりがあるのではないでしょうか。
相手に対する好きと嫌いという感情は、社会生活に大きな影響を及ぼします。特にやっかいな感情が「嫌い」です。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という言葉がありますが、嫌いな相手は何をしようとイヤなものです。
リーダー職の皆さま、あなたはメンバーからどう思われていますか?
EQこころの距離の近づけ方
感情は変わります。意識すれば変えることができます。好きも嫌いも感情です。そこでEQの登場です。心構えとして、一生好きになる必要はないと心得てください。
ポイントは3つです。
- 必要なときに、必要なだけ好きになる
- 時間限定(2時間)&期間限定
- ご機嫌Time活用
「2時間だけ好きになる方法」という講演、研修でお伝えしていることですが、ビジネスで成果上げるために、好き嫌いは通用しません。であれば、EQを発揮して時間(期間)限定でお互いのこころの距離を近づけ、ご機嫌Timeを利用しましょう。人はご機嫌になると、こころがオープンになります。その時間を重ねることで相手の感情も変化します。もしかして気が合う?相性がいい?仲良くできるかも…と感じ始めます。嫌いな相手でも、この時間を多く過ごすことで「好きかも…」と勘違いします。その勘違いを上手く利用して、お互いのこころの距離を近づけましょう。
EQはビジネススキルです。成果を上げるために有効に活用しましょう。
高山直 たかやまなお
高山直事務所 EQ Exective Master
1957年 広島県生まれ。日本におけるEQ理論の第一人者。1990年米国で提唱されたEQ理論を日本で初めて紹介し広める。 個人のやる気や情熱、「志」などの潜在的な能力や可能性が学歴に関係なく、公平、公正に判断される社会の創造を目指して、1997年株式会社イー・キュー・ジャパンを設立し、日本初のEQ事業をスタートさせ...