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講演講師 インタビュー / 元知能・経済犯担当刑事 森透匡 氏

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講演会講師インタビュー|詐欺、横領、贈収賄事件等を扱う知能・経済犯担当の刑事を約20年経験。職務上体得したスキル、知識を用いてビジネスの発展と社会生活の向上に尽力する、森透匡(もりゆきまさ)氏にインタビューしました。

目次
  1. 「ウソや人間心理の見抜き方」講演をはじめたきっかけ
  2. ドラマで憧れた「刑事」という仕事
  3. 被災地を目の当たりにし覚悟を抱いた「人生への挑戦」
  4. リクエストの多い講演テーマとは
  5. 現在の活動、そして今後の目標

「ウソや人間心理の見抜き方」講演をはじめたきっかけ

27年間務めた警察を辞めて起業。講師として講演会活動を始めるようになったエピソードについて語っていただきました。

――

森さんの著書に「元刑事が教えるウソと心理の見抜き方」というのがありますが、プロの前ではこちらの胸の内を見透かされているんじゃないか、と。ドキッとしますね。

みなさん、「見抜かれそうで怖い」って、だいたいそうおっしゃられるんですが、別に初対面の方のウソを見抜いているわけじゃありませんので…(笑)、安心していただければと思います。

――

警察をお辞めになり、起業し、講演活動を始められたキッカケは何だったのでしょうか。

もともと警察には27年おりまして、うち刑事が約20年だったんですが…。知能経済犯担当で、詐欺とか選挙違反とか横領とか、そういった事件を担当する捜査2課に長くいたんです。そのときからちょっと頭の片隅に独立心がありまして…

そんなさなかの3・11に震災があり、その時にたまたま広域緊急援助隊という部隊の中隊長をやっていまして、福島へ部下64人を連れて、あの日の夜から派遣されて行ったんです。そこでですね、やっぱり生きているうちにやりたいと思うことには挑戦しないといけないんじゃないかな…と、人間何が起こるか分からないし…と、思いまして。
とは言っても、いきなり独立はできませんので、ネットで探した起業塾の無料相談に申し込んで行ってみたんです。すると「面白いな」と思いましてね。こっちの方が自分にあっているのではないかな、と。別に警察が嫌いだったわけじゃないんですが、どうしても挑戦したいという思いになって独立を決心したというわけです。

で、独立したものの、探偵業とか警備業がやりたかったわけじゃなく、何か変わったことをできないかな、そうじゃないと目立たないな、と思っていて、何ができるかなと思った時に、刑事はコミュニケーションの専門家だろう、いろんな方から話を聞き出したり、ウソを見抜いたりとか、そういうコミュニケーションスキルを使って仕事をしているし、しかも「ウソの見抜き方」のようなことを教えている人はいないな、と思いまして。
それ面白いんじゃないかな、ということでセミナーとかやり出したら、「結構面白い」「そんな話は初めて聞いた」というご意見をいただいて、それから「ウソの見抜き方」を中心にお話させていただく機会をいただいている、ということです。

――

講演を通じて最も伝えたいこと、とは何でしょう。

例えば「ウソの見抜き方」をお話する時なら、だまされないようにしていただきたいということですね。今の世の中、情報化社会で非常に多くの情報が飛び交っていて、間違った情報もたくさんあります。鋭くならないと会社を守れないですし、個人も守れませんよ、と。「ウソの見抜き方」は詐欺とか、だまされないことに使っていただきたいと思ってお話しています。

――

年間180回ほどの講演をされる人気講師の森さんですが、起業されてからここまで順風満帆ではなかったと思います。大変なご苦労があったのではないでしょうか。

もともと警察官という、お金をいただく商売というのをしていませんでしたので…それがお金をいただくにはどうしたらいいのか、というところから始まりまして、まぁたくさん本も読みましたし、いろいろ勉強したんですが、2-3年は結構軌道に乗るまでは大変だったかなと思います。
で…やっといい感じになってきたなと思ったらコロナということで…。なんでこのタイミングでという感じだったのですが、コロナも3年間ありましたので、いやぁ大変でした。
ただ私は天才的なポジティブ人間だと思っておりまして、何があっても絶対めげないぞというタイプでして、そういうことがあればあるほど燃えてくるので、なんとか乗り越えてきたかなということです。

――

過去には日刊スポーツの取材でもご協力いただきました。2014年4月13日付の社会面、STAP細胞の小保方晴子さんに関する分析の記事でした。
記者会見を見て、捜査歴20年の元刑事が「目や顔から信じられる」と断言された記事で、あれはインパクトがあったと思いますが。

もちろん、よく覚えていますよ。当時、私のブログを見て、記者さんから問い合わせがありましてね。「記事にしたいんですが」っていう話だったんです。で、(取材を受けて)翌日、コンビニ行って新聞を買って見たら、「うわぁこんなにデカく出てる」と思ってビックリしましたね。でも結構、それでテレビとかにも取り上げていただきまして、反響が大きくて、お世話になりました、って感じでした(笑)。

ドラマで憧れた「刑事」という仕事

刑事になったきっかけや、なぜ知能犯係に配属されたのか。当時憧れていた刑事ドラマと現実とのギャップについてお話していただきました。

――

そもそも刑事という職業を目指されたのはいつごろからでしょう。

警察官になる時、「刑事になりたいな」とずっと思っていたんです。刑事になりたいという人は、刑事ドラマに憧れてという人が多いと思うんですけど、私もそれで刑事になろうと。
一応、私は24歳から刑事をやっているんですけど、もともとは商業高校出なんですよ。簿記とか、会計の知識があったもんですから「知能犯はどうだ」みたいな感じで。当時赴任した先の副署長さんが捜査2課の出身で、「お前、どうだ?」と聞くので、「やります」って、そういう流れで刑事にさせてもらったという感じです。

――

ちょうど森さんの中学、高校のころは、「太陽にほえろ!」や「西部警察」など刑事もののドラマが流行っていたんじゃなかったでしょうか。やっぱり影響されました?

そうですね。だいたい、刑事になりたいという人は見てましたよね。

――

テレビと現実の世界では、相当のギャップもあったと思いますが…。

そもそも1時間では事件は解決しないですからね(笑)。捕まえるまでに相当苦労して、何年もかかって犯人にたどりついたとか…。若いときは、殺人事件の捜査にもかかわったことがあるんですけど、やはりそんなに(ドラマのように)簡単ではありませんからね。
よく刑事ドラマでは1人や2人で捜査しますけど、殺人事件とかになりますと100人、200人といった捜査員がいろんな捜査をして、やっと犯人にたどりつくと、そういうふうな形で解決しますので、そりゃ、やっぱり刑事ドラマとは全然違うなというところですね。

被災地を目の当たりにし覚悟を抱いた「人生への挑戦」

広域緊急援助隊に移動し、1カ月後に1000年に1度の震災が発生。被災地での救助活動で心に抱いた思いについてお話いただきました。

――

2011年の東日本大震災が刑事を辞めるきっかけとおっしゃいましたが、あの大災害を経験して突き動かされたものとは何だったのですか。

我々の広域緊急援助隊というのは災害時の救出部隊なんですよね。私は千葉の部隊の責任者で、この部隊は管轄が関係なく、大きな災害が発生したらどこへでも行って救出するという部隊なんです。そこに私は異動し、1カ月後に3・11を迎えましてね。通常、中隊長の在任期間というのは1年~1年半なんです。だから(その間に)全く災害がない方もいらっしゃいます。私は1カ月後に3・11ということで、1000年に1度の震災ということで、部下64人連れて福島に行けということで派遣されたんですね。
出発前の段階で福島では原発(の問題)があって、放射能漏れがあって、津波の映像も散々見て、それから福島へ行ったんですけども…まぁ1000年に1度の震災ってとんでもないなって。最寄りの警察署に行ってここを捜索してくださいって地図を渡されたんですが、もともとは住宅街なのに実際に行ってみると家は一軒もない。全部がれきの山になっていまして、これはすごいな、と。正直、ホントにこんなことが起こるのかな、と。私は刑事も警察官も長かったので、それまでいろんな現場をたくさん見てきたわけですけど、いやぁこんなことが起こるんだな、と。本当に衝撃的だったし、やっぱり人生は1回しかないし、う~ん、やることやっとかないといかんな、と。挑戦するならした方がいいな、というのを実感したというところですね。

リクエストの多い講演テーマとは

これまでどのような講演依頼が多かったか、どのような業界の方からの依頼が多いかなどお話いただきました。

――

講演のネタとして、たくさんの引き出しをお持ちだと思いますが、1番多くリクエストされるテーマは何でしょう。

刑事のコミュニケーション術というところで「ウソの見抜き方」とか「本音の引き出し方」とかが多いですね。「信頼関係の築き方」みたいなのもコミュニケーションの1つかもしれないですね。
あとは「刑事(デカ)メンタル」という本を私は書いているので、やはりメンタルの話ですね。コロナでメンタル弱っておられる方もいらっしゃって、刑事はメンタル強くないと務まらない仕事ですので、刑事のメンタルの作り方みたいなもの…ですね。
この間も入社5年目ぐらいの社員300人ぐらいにメンタルヘルスのことを話してくれと依頼がありましたね。あとは「リーダーシップ」ですね、私は警部として50人ぐらいの部下の指揮を取っていましたので…。
他には「安全大会」「安全管理術」までお話することもありますし、まあ本数少ないですが、「グレない子どもの育て方」「どうやったら子どもがちゃんと育つか」とかもあります。親御さんたちは本当に真剣に、なるほど…みたいな顔をして聞かれているように思います。

――

聴講者の業種や年齢層はさまざまだと思いますが、どういう方々が多いのでしょう。

最初はウソの見抜き方1本でいっていたんですが、お話ししているうちに、「こういう話もできないか」とリクエストされてレパートリーが広がっていきましたね。
依頼で1番多いのは経営者の会、保険業界、税理士の会とかです。それから労働組合でしょうか。「本音の引き出し方」とかを聞きたい、とか。PTAなら「グレない子どもの育て方」とかになりますし、あと安全大会では安全管理などについて幅広くお話しています。

――

税理士会ではどんなテーマが多いのですか。

税理士会は「ビジネスで役立つウソの見抜き方」が多いですね。税理士さんというのは顧問先にだまされたりすることもできないんですね、それから国税の調査が入った時も調査官にうそを言っちゃいけない、また心理を見抜かなきゃいけないということで、やはり基本的に心理を見抜かなきゃいけないというポジションにいるっていうか…。
1番、士業の中で反応がいいのは税理士さんですね。税理士さんの会では、(講演会場へ持っていった)本が全部売れるという感じですね(笑)。

――

振り込め詐欺などお年寄りが被害に遭う犯罪が増えています。元刑事の立場から被害に遭わないためのポイントがあれば教えてください。

よく自治体から「高齢者を集めるので、詐欺にだまされないための講演をやってください」というご依頼を受けることがあるんですが、そこでお話するのは、やっぱり詐欺師の特徴とか手口を知っておくことが大事ですよ、ということなんです。知識を増やすことが大事で、詐欺師がどういうタイプの人なのか。それから手口ですね、要するに敵を知ること。敵を知れば、話をしていて「あっ、これどっかで聞いたな」って頭に引っかかるんですよね。知らないとスルーしちゃって、だまされるんです。
今、どんな詐欺が流行っているか、ニュースでちゃんと見ておいてください、こういう詐欺が流行っているよね、と。知っていれば(アンテナに)ひっかかるんですが、知らないのでだまされちゃう。そもそもそういった詐欺師の特徴、手口を知っておくこと、それがとっても大事なんです。
あとは、今は固定電話にかけてくることが多いので、電話は留守電にしておくとか、そういう警告を出す電話にしておくとか。またお年寄りも結構スマートフォンを使ったりするので、ネットでだまされる方もいる。とにかくお金、お金という話になったらちょっとおかしいな、と疑ってください。とにかく、あの手この手でだましてきますので気をつけてくださいと言っております。

――

下世話な話で申し訳ないですが、例えば浮気の見抜き方とか、それに関連するような質問、ご相談もあるのでしょうか。

ないことはないですが(笑)。ただ、そっちの方の先生にはならないように、やはりBtoBで、ビジネスにおいて、どうやって見抜くかという講演したいと思いますね。まぁ、結果的にそっちの方にも使えるんですけどね(笑)。
あと男性からみて(浮気の)ウソを見抜かれないためにはどうやったらいいかと、そっちの観点で聞いてくる方も多くて、そっちの方がニーズがあるのではと思っているんですけどね(笑)。

――

講師として自身の強みと弱みをどう分析されますか。

強みは元刑事ということだと思うので、それを前面に出して、刑事で培ってきた知識やスキルをみなさんのお仕事に役立ていただく、日常生活に役立てていただく、ですね。ただ事件で犯人を捕まえたとか、警察24時みたいな話をしても面白くないし、参考になりませんので、あくまでビジネス講師としてビジネスに役立つようなお話をしているというのが強みかなと思います。
あとはどこの現場でも手を抜かずにと言いますか、精いっぱいお話をして喜んでもらえるのが1番うれしいんですよね。聞いていただいた方から「先生、今日は失礼な言い方だけど面白かったよ。いやあ本当に面白かったよ」と言われるのが1番うれしいので、(講演で)何かを1つでも2つでも持って帰ってもらえると1番うれしいと思っています。
弱み?…は何でしょうか。売れてくると調子に乗る人もいると思いますが、それはしたくないと思っています。お仕事いただいている以上はどんな団体でも人数でも…多かろうか少なかろうが、真剣に取り組んでやろうとしないと、「オレはすごい先生だ」と思っちゃうと、やっぱり気持ち的によろしくないんで、そういう点は気をつけているところですかね。

現在の活動、そして今後の目標

現在の活動のために立ち上げた協会の活動内容や、これからの目標、講演会をお考えの方へのメッセージをいただきました。

――

一般社団法人日本刑事技術協会についてお聞きしたいのですが、どういう協会なのでしょう。

独立して11年になるんですが、最初の6年ぐらいは1人で会社を作ってやっていたんです。でも元刑事の話とか、経験談とかは、世の中のためにも合っているな、ということが分かったんで、私とは違った専門分野の元警察官、刑事を集めたら面白いんじゃないかと思いまして、そういうところから始まって5年前にこの協会を作ったんです。
現在、私を入れて17人いるんですけど…やっていることは企業の顧問、リスク管理などの顧問ですね、それから講演、研修、テレビに出たりとか…そういう活動をしている団体です。

――

5年先、10年先をイメージされることはありますか。

元気ならば80歳でも、90歳でも話をしたいと思うのですが…(笑)。やはりうちの協会に入ってきていただける(警察)OBの方に、活躍する場を設けることができれば…というのは私の思いでもあるのでね。
警察OBはやめてしまうと知識、経験がみんな埋もれちゃう。もっと出すと、もっと世の中のためにセカンドキャリアとして生かせる場がいっぱいあるのに、もったいないな、と思うんです。警察OBの方の活躍する場を増やして、そして世の中のためになる、というのが目標にありますので、そういう方(講師)をどんどん増やしていきたいなと思います。

――

ご家族のことを聞いてもいいですか。

嫁さんと子どもが2人います。よく生活感がないと言われるんですけど、ちゃんと生活していますよ(笑)。あとペットがいます。3歳のトイプードル。いつも一緒に寝ている、かわいい娘です。

――

最後に森さんの講演に興味をお持ちの方々に向けてメッセージをお願いします。

元刑事のウソの見抜き方とか、本音の引き出し方とか、コミュニケーション術をお話しする機会が多いんですけど、コロナで人と会わなくなって、コミュニケーションってすごく大事だよね、って再認識されたんじゃないかと思うんです。
どこの企業も(会議等が)オンラインになったり、自宅で仕事したりとかになって、コミュニケーションをもっと豊かにして、いい会社にしたい、いい団体になりたいとかが多いと思います。そういう企業、団体様には、(私の話は)はまるのかな、ご要望に沿うことができるのかなと思います。
経営者団体に限らず、業種は問わず、元刑事のコミュニケーション術、ウソの見抜き方、そういったところに興味がありましたら、お問い合わせいただければと思っています。

――

森さん、長時間に渡ってありがとうございました。

一般社団法人日本刑事技術協会代表理事 森透匡氏インタビュー

森透匡 もりゆきまさ

一般社団法人日本刑事技術協会代表理事 (経営者の「人の悩み」解決コンサルタント)

警察の元警部。詐欺、横領、贈収賄事件等を扱う知能・経済犯担当の刑事を約20年経験。 東日本大震災を契機に独立し、刑事が職務上体得したスキル、知識を用いてビジネスの発展と社会生活の向上に寄与することを目的とし、一般社団法人日本刑事技術協会を設立、 現在は代表理事として「ウソや人間心理の見抜き方」を主な...

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