働き方改革に必要なことは何か。仕事とボクシングを両立しながら、持ち前のプラス思考で世界チャンピオンになった異色のボクサー木村悠氏が実践していた「逆算思考」とは?働き方の意識を変える3つのポイントについて、世界を獲った商社マンボクサーがお話しいただきます。ぜひ参考にしてみてください。
働く人の意識改革
働き方改革が叫ばれる今、私たち一人一人が働き方を見つめ直さなければいけません。しかし、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現と言われても、いまいちピンとこないという方も多いのではないでしょうか。
私は、根本的な問題として、働き方改革とは「働く人の意識改革」だと考えています。
仕事とボクシングを両立していた現役時代、私はまさにこの意識改革に取り組んでいました。どうすればより効率的に仕事ができるようになるのか、ミスを減らすにはどうすればいいのか、仕事後にトレーニングの時間を確保するためにはどうすればいいのか…など。
引退した今では経営者、ライター、講演講師など多方面で活動していますが、商社マンボクサー時代に意識していた働き方は今でも役立っています。
3つのポイント
今回はその主な3つをご紹介します。
①効率的に仕事をする「逆算思考」
たまっている仕事を片付けるために、何も考えず、手当たり次第に始めるとどうなるでしょう。期限ギリギリになってしまう、ミスしてしまうなど周囲にも迷惑をかけてしまう可能性があります。これは仕事ができない人に共通している「積み上げ思考」タイプの人が陥りがちなパターンです。
現状から考えて行動することは、明確なゴールが決まっていないので、遠回りをしてしまったり、失敗してしまうこともあります。逆に仕事ができると言われている人は「逆算思考」で仕事をこなしています。明確なゴール、期限などを決めてからスケジュールを立て、行動にうつします。
出勤に例えると分かりやすいかもしれません。例えば◯時に会社に着くためには、◯時着の電車に乗り、◯時に家を出て、◯時間に起きる必要がある。このように逆算して考えると迷いがないため効率的に行動できるのです。
私も現役時代は、退社時間とトレーニングの開始時間、ボクシングの減量期限など常にスケジュールを意識して行動していました。「時は金なり」という言葉があるほど、時間はとても貴重なものです。まずは、残業を減らすために一日の仕事の逆算から初めてみましょう。
②仕事をしやすい環境を作る「整理整頓」
日頃から整理整頓を心がけることで仕事の時間を大幅に短縮できます。探し物をする手間が省ければ無駄な時間も減りますし、スッキリしたデスクであれば仕事に集中しやすくなります。まずは収納方法を変えたり、かさばりやすい紙の資料をソフトやアプリ活用して管理したり、簡単な工夫から始めてみましょう。
アスリートでもそうですが、一流と言われる選手ほど身の回りを整える習慣を身につけています。自分の使う道具を綺麗にしたり、ロッカーやバッグの中を整理したり。それは全て「気持ちよく試合に臨みたい」という思いからです。
もちろんこれは仕事にも当てはまります。気持ちよく仕事に臨み、最高のパフォーマンスを発揮するために、まずは身の回りの整頓から心がけていきましょう。
③仕事に対する考え方「プラス思考」
働き方改革とは関係ないのでは、と思われるかもしれませんが、この改革で根本的に必要なのは仕事に対する考え方です。
改革とあるように、私たちは変化が求められています。柔軟な働き方、テレワークの普及など、特に働き方改革で注目されているのが「時間外労働の上限規制」です。法律で残業時間の上限を定め、違反した場合には、罰則が科されるおそれがあります。
それを単に、「短時間しか働けないから給料が減る」「残業時間が減れば別のところで皺寄せがくるだけだ」と考えるのは良くありません。働く時間が少なくなれば、自由な時間が増えることになります。
家族や友人と過ごす時間、趣味や好きなことに費やす時間、休養、睡眠を取る時間も増えることでしょう。キャリアアップを目指したり、副業に挑戦してみてもいいかもしれません。
これは私の持論ですが、変化をチャンスと捉え行動できる人が成功できると思っています。
何事にもデメリットはありますが、悪い面ばかり見て嘆いていても何も変わりません。自分にとってどんな得があるのか、どんなことができるようになるのか、ぜひプラス思考で考えてみてください。
まとめ
働き方改革は、実際まだ全ての企業に浸透しきっていません。だからこそ冒頭でお話しした「働く人の意識改革」が必要です。逆算思考、整理整頓、プラス思考であれば、あなた一人でも簡単に実践できます。大きな改革もまずは一人一人の意識改革が大切なのです。
木村悠 きむらゆう
商社マンボクサー、元世界チャンピオン
1983年11月23日生まれ、千葉県千葉市出身。習志野高校でボクシングを始め、法政大学時代に日本一になる。 大学卒業後、数多く世界チャンピオンを輩出している帝拳ジムでプロデビュー 。その後、挫折をきっかけに商社に勤めながらのボクシング生活をスタート。仕事とボクシングを両立しながらの二刀流で世界チャンピオン...