この記事では健康経営を社内に浸透させるための考え方を、心理学を用いて解説していきます。
健康経営に対して、どんなイメージがありますか?
「会社が従業員の健康管理を行うこと」
このように考えている人が多いのではないでしょうか。
健康診断の受診勧奨や安全配慮義務を行うという意味では、管理とも言えますが、あまりにも「管理」のイメージが先行すると重たいものになってしまいます。
健康というのはパーソナルな部分が強いので、管理する側も管理される側もあまりいいイメージはないはず。
NPO法人健康経営研究会によると、
〜健康経営とは、企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる。健康を経営的視点から考え、戦略的に実践すること
〜サイトより抜粋
「健康に配慮」という言葉が使われているように、あくまでも行動変容のキッカケ作り。
それを仕組み化するのが健康経営です。
そのためにまずは、人が行動を起こす心理について理解を深めていきましょう。
認知バイアスを理解する
習慣を変えられない人の心理には様々なバイアスが働いています。
バイアスとはもともと英語で「偏り」という意味。
言い換えると、「思い込み」や「先入観」です。
特に、習慣作りに影響している2つのバイアスがこちら。
現在志向バイアス
未来の利得よりも、目先の欲を優先してしまう心理のこと。
例えば、
・貯金したいのに、欲しいものをつい買ってしまう
・テスト勉強しないといけないのに、つい動画を見てしまった
・「明日からダイエットしよう」とずっと言い続けている
など、思い当たる人は多いはず。
損失回避バイアス
得よりも損失を大きく評価する心理的傾向のこと。
例えば、
新しい習慣を取り入れるよりも、親しみ慣れた今の習慣を手放すことを大きな損失として捉え、行動を変えることを無意識に拒否する傾向。
バイアスを活用する
前項で紹介したようにバイアスは私達にネガティブな影響をもたらしますが、使い方次第では行動変容にポジティブな影響を与えるものもあります。
一貫性の原理
自分の行動や発言、態度などに一貫した行動をとりたい、という心理のこと。
新しく取り入れたい行動を他人に宣言することで、行動を継続できる確率が上がります。
ほぼ毎日顔を合わせる従業員同士で行えば、より効果的。(宣言内容は途中変更OK)
☆ポイント
成果に焦点を当てるのではなく、行動にコミットメントすること。成果は確実性に欠けますが、行動はコントロールが可能だからです。
例えば、
・3kg痩せる!ではなく、→週に2回はジムに行って筋トレをする
・お酒をやめる!ではなく、→2日に1回は休肝日にする
など
同調効果
周囲の人と同じ意見や行動だと安心する心理のこと。
健康経営もこの心理を利用して、一部の従業員の取り組みではなく、会社全体での取り組みだということを認知させることが重要。
☆ポイント
社内外に発信する健康宣言とは別に、経営者が従業員に直接もしくは文面で、なぜ健康経営を行うのか目的と目標をしっかりと伝える。
キーワードバイアス
健康に関して自己肯定感が低い人達は、「健康」という言葉に拒否反応を示すことがあります。
不健康になりたくてなっている人は1人もいない。
何か健康に対して挫折したりあきらめたり、ネガティヴな経験を持っている場合が多い。
☆ポイント
取り組みを周知させる際には、健康を別の価値に置き換えて伝える。
例えば、
・アンチエイジング
・疲れにくい体作り
・美しく、かっこよく
など
取り組み内容や、性別、年齢層によって反応する言葉が変わると思いますが、ぜひ周知する文章を工夫してみてください。
最後に、
私はプロスポーツという、健康状態が結果に直結する世界で15年間活動しました。
選手としても指導者としても体調を整える難しさを実感しています。
健康経営の取り組みの目的は、そこまで意識が高くない人達が行動変容を起こすこと。
正直すごく難しいテーマだと感じています。
それでも結果を出している企業の特徴は、経営者が率先して取り組んでいる。
つまりトップの本気度が高いことです。経営者が背中を見せるのが最もコスパが良いのかもしれません。
私個人的にも、会社側が健康を管理するのではなく、従業員自ら健康的な行動をとりたくなるような会社が増えれば良いなと感じております。
最後までお読みいただきありがとうございました。
長野憲次 ながのけんじ
健康経営エキスパートアドバイザー、元プロボクサー
1984年生まれ。兵庫県出身。元プロボクサー。ボクサー引退後、パーソナルトレーナーとして活動を開始。プロアスリートから一般の方まで3000人以上のコンディショニングを担当。 この活動をやっている理由として2つの原体験がある。1つは、プロボクサー時代、ケガが多く、思ったような練習ができない日々を送ったこと...